描き足さない、色も変えない。古写真と錦絵の整え方
記憶壁紙の古写真と錦絵は、国立国会図書館デジタルコレクションで公開されています。
もとの画像の多くは、本や画帖(がじょう。絵を綴じた本)を開いて撮ったものです。絵や写真のまわりには、台紙や紙の端、となりのページまで写っています。紙が少し傾いていたり、綴じ目(とじめ)のそばで丸まっていたりもします。
1枚ずつ、平らな台に置いて真上からスキャンしたような姿に整えてから載せています。無理に直すと不自然になるものは、そのままにします。
しないこと
- 写っていないものを描き足す
- 色を変える
すること
- どこで切るかを決める
- 傾き・反り・縮みを、もとの形に戻す
- 綴じ目の影を、まわりの紙の明るさにそろえる
- 丸い写真のまわりの写り込みを、台紙の色で消す
ここからは、6つの作業と、誰が決めているかです。
斜めの錦絵を四角く切り出す

錦絵の画像には、絵のほかに色見本や物差し、整理番号の札、黒い背景、となりの紙が写っていることがあります。
絵の枠の4つの角を見つけ、その角で切り出します。紙が少し斜めに写っていても、まっすぐな長方形に直します。
取り込んだ画像で絵の端が欠けていたら、国立国会図書館から広めの範囲で取り寄せ直します。錦絵によっては、壁紙をつくる画面で「絵だけ」か「余白も」かを選べます。
古写真の傾きを直す

古写真には、台紙に少し斜めに貼られたものや、本が傾いたまま撮られたものがあります。塔や柱のようにまっすぐ立つものは、わずかな傾きでも目につきます。
写真のふちの線から角度を測り、まっすぐに直します。
残った紙の帯を切り落とす
本のページには写真のまわりに余白があり、下に題が刷られていることもあります(上の八坂塔の左の画像)。
切り出したあとのふちに、白い紙の帯や、写真の下に刷られた枠線が細く残ることがあります。壁紙にすると画面の端に線が入るので、この帯や線を見つけて取り除きます。

綴じ目の反りをまっすぐに
錦絵には、何枚かを綴じて1冊の画帖にしたものがあります。開いて撮ると綴じ目の側の紙がたわみ、まっすぐなはずの枠が弓のように反って写ります。

枠の線をたどり、反った辺をまっすぐに戻します。辺のまわりだけを動かすと絵に折れ目ができるので、少しずつ全体になじませます。
紙が奥へ丸まり、絵が横に縮んで写ることもあります。題を書いた短冊の枠など、もとが長方形のものがあれば、それを目安に上と下の幅をそろえます。
直して枠の線がかえって波打つなら、直す前に戻します。綴じ目の奥に沈んで写らなかったところは、描き足さずに欠けたままです。
綴じ目の影を明るくそろえる
綴じ目の側は、紙が丸まって帯のように暗く写ります。綴じ目からの距離ごとに紙の明るさを測り、まわりの紙と同じ明るさまで、なめらかにならします。
色合いは変えません。1つの点の赤・緑・青を、同じ割合で明るくするので、藍は藍、紅は紅のままです。

ならしたあとは、夜空や墨の黒まで薄くなっていないか、境目に筋が出ていないかを AI が見ます。不自然なら、自動でならす前に戻します。
丸い写真の外を台紙の色に
丸く切り抜いて台紙に貼った古写真では、丸のすぐ外に、となりの写真や文字が写り込んでいることがあります。
丸の外の台紙だけを、まわりと同じ色とむらで塗って消します。中の写真には手を入れません。ふちがはっきりしないときは、写真を削らないよう塗らずに残します。
誰が決めているか
ここまでの直しは、プログラムが計算し、AI が見て決めています。直した画像は、ほかの AI が修復の専門家や学芸員などの立場から確かめ、よしとしたものを載せます。AI どうしで意見がまとまらないときは、人が見て決めます。
もとの姿は国立国会図書館で
整える前の姿は、国立国会図書館デジタルコレクションで見られます。写真ごとのページにある出典の資料名で探すと、もとの1枚にたどり着けます。

