10月12日から18日までの週に載せたのは、写真28枚と錦絵14枚です。錦絵が多く入ったので、見比べられる組み合わせを4つ選びました。同じ土地の写真と錦絵か、同じ揃いものや同じ写真帖の2枚です。東から西へ並べています。
東京上野不忍池畔
枯れた葦か蓮の茎が、手前の水から何本も立っています。上野の不忍池のほとりで、奥の木立が水面に黒く映ります。池の中島(弁天島)は、寛永寺を建てるときに、池を琵琶湖に、島を竹生島に見立てて築かれました。
不忍
同じ池が、錦絵ではがらりとにぎやかになります。前脚を上げた馬に、赤い服の乗り手が身を伏せて駆けていきます。明治17年(1884年)、池の周りは競馬場として使われ、いまの池の形も、このときの埋め立てでほぼできあがりました。
名勝八景 大山夜雨
黒と白の太い雨の筋が、茶色い山を左上から右下へ断ち切ります。相模の大山(いまの神奈川県)が、夜の雨に包まれています。山の阿夫利神社は、雨乞いの神としてまつられてきました。雨にゆかりの深い山が、ちょうど雨の夜の題になっています。
名勝八景 金沢帰帆
赤く丸い日が山の脇に浮かび、青緑の海に帆柱を立てた舟が散らばります。同じ揃いもの『名勝八景』のもう1枚で、こちらは海の景色です。金沢八景は、武蔵国金沢(いまの横浜市金沢区)の景色を、中国の瀟湘八景(しょうしょうはっけい)になぞらえたものです。同じ神奈川でも、大山の夜とは空の色がまるで違います。
大阪住吉神社反橋
大阪からは、住吉を2枚続けます。写真のほうは、高く反った橋の下に、白い橋脚が5〜6本並んで水に映っています。住吉(すみよし)神社の反橋(そりはし)で、この石の橋脚は、慶長年間に淀君が豊臣秀頼の成長を祈って寄進したと伝えられます。
浪花百景之内 住吉神宮寺
朱色の塔と大きな瓦屋根が、黄色い地面に並び立ちます。錦絵の住吉神宮寺で、天平宝字2年(758年)に開かれたと伝わります。神宮寺は、神仏習合の考えのもとで神社に置かれた寺のことです。反橋の写真と合わせて、住吉を神社と寺の両方から見られます。
宇和島城
最後は愛媛の宇和島から、同じ写真帖の2枚です。三段に重なる天守の屋根に、手前の松の枝がかかっています。宇和島城の天守は、伊達家2代の宗利が寛文年間(1660年代)に建て替えたものです。写っているこの建物が、江戸時代の姿のまま残り、国の重要文化財になっています。
宇和島名所鮎返り瀧
細く白い筋を下へたどると、水は大きな岩のすき間へ落ちていきます。2枚めは、名所の滝です。いまの宇和島にも「鮎返の滝」という名の滝があり、愛媛県は高さ約30メートルをまっすぐに落ちる滝として紹介しています。
ほかの写真と錦絵は、新しく載せた古写真や錦絵の一覧にそろっています。選んだ8枚は、風景や橋、寺、城の種類のまとめからもたどれます。